人気ブログランキング | 話題のタグを見る

つくりものがたり

kobotan.exblog.jp
ブログトップ
2010年 06月 10日

感じ方  その2

感じ方  その2_d0169209_9352766.jpg

     ブログって何を書けばいいんだろうってはなしです。

     そうですよね。
     宿題じゃないんだからムリに書くことないんですもん。


     わからなくなったらスタートラインにもどりなさいって(ヒッチコックがトリュフォーのインタヴューの中で言ってた)





感じ方  その2_d0169209_101093.jpg



スタートラインは、やはり告知でした。
この未曽有の経済危機のなかでなんとか生き残らなければ工房丹という存在を世に広く知らしめねば!

つくった家具の写真をいっぱいカッコよく見せよう
どうやってつくってるのかその途中も見せよう
でも工房丹はなんでもやりますトライしますのなんでもやで自分でデザインしているわけでもないからあまりポイントがない。
ここ数年は無精して写真も撮ってない。


うーん




感じ方  その2_d0169209_10452569.jpg




      でもこれだけは避けたい
      偶然見られてもすぐネットサーフィンされるようなのは避けたい
      HPがないからといってあんまり商売っ気まんまんでセンスないようなのはヤだ。
      偶然見てついつい写真眺めちゃったりついついことば読んじゃったりするようなのがイイ
      あのヒトのあんなblogやこのヒトのこんなblogの、ような。







感じ方  その2_d0169209_1173592.jpg



ものすごくセンスないこと書いてるみたいでおそろしくなってきた。
こんなことだれもがこころの中で処理していることであってわざわざ書くべきことじゃない。
オレってほんとヒマ。

ようするに、
ヤリたいようにヤッテみたら、ってことですよね神さま。
結局、自分が見たいもの読みたいものしか
書けないんだから






感じ方  その2_d0169209_11503126.jpg


      でもここまで書いたから書いてしまう。

      こんなもの見てる人いるんだろうか。
      何人かの知人は見たといってくれたけれど、
      だらだらとこんなこと書いてると飽きちゃって見てくれなくなるかしら。
      HPは閲覧者がどのくらいいるかわかるみたいだけど、
      パソコンのこともネットのこともろくにわからないので、blogでそれがわかるのか知りません。

      なんかサビしい
      ブログってつまるところジコマンゾクなのでしょうか。







感じ方  その2_d0169209_12201110.jpg
じつはここからが本題です。

白石一文という作家がいます。
好きな作家で何冊も読んでいますが、彼が「ほかならぬ人へ」という小説で直木賞をとりました。
ぼくも読みましたが、読み始めてすぐ引き込まれ、いっきに読み終えました。
おもしろいんです。物語の中にはいりこんでしまう。 感情移入という言葉がありますが、なかば夢中で読み進めるわけですから、
やはり登場人物のだれかになったつもりで読んでいるのかもしれない。
彼は人生の中でもっともヒリヒリと痛いぶぶん、ひととひとのつながりを書く。
生きていくということはどういうことなのかということをつきつける。
だから軽い小説ではありません。
読み終わって忘れられない、忘れちゃいけないと思うものが残る。
こちらがなにかを問われているような気持ちになってきます。
だからそれをよしとしない人には向かない。

彼の小説をきらいだと表明する人も多いのです。
試みに彼の名前をblogで検索したらあるblogerの方の書評がすぐ出てきました。
少し引用させていただくと、
「ビミョーなかんじ、・・・昭和くさい。」
「べつにきらいじゃないが、それほど好きでもない。読んで何かが残るわけでもない。」
「登場人物をつぎつぎに死なせるのはいただけない。死は(中略)盛り込みすぎると稚拙な構成としか映らない。」

感じ方は人それぞれだし、自由だし、他人がどんな感じ方をしようが、それはまず認めなきゃならない。
こう感じるべきだというのはファシズムです。
このかたの感想についてはこんなことを思います。
  このひとは物語の中に入り込めなかったからつまらなかったんだな。
  こんなことあるかあ、こんなヤツいるかあと最後まで批評しちゃったんだ。
  このひとに対しては、この小説は説得力を持たなかった。

しかしぼくにとって、あるいは彼を好む多くの読者にとっては、この小説は傑作なのだし、
書き手は書く内容について最大限の配慮をしつつも、最終的には読み手の感じ方に責任を負うことはできません。


感じ方  その2_d0169209_14195637.jpg
     あたりまえといえばあたりまえのこと。
     

     いいたかったのはこんなことでした。


     白石一文という作家は、一作ごとにチャレンジや修正はありますが、
     だれにどんな評価をされようと、自分の書き方をつらぬくひとです。
     ぼくはそこに深く共感しています。     

by kobo-tan | 2010-06-10 14:52 | ものがたり


<< ナラテーブル 続き      感じ方 >>