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2013年 06月 14日

ETV特集「毒と命~カネミ油症 母と子の記録~」





d0169209_12344944.pngNHK[ETV特集] 「毒と命~カネミ油症 母と子の記録~」




きょうはちょっと重いお話です。


今日の深夜、午前0時45分から、NHK-Eテレで上のドキュメンタリーが再放送されます。


ETV特集公式サイトより・・・

食用油にダイオキシンが混入し、日本各地で1万4千人が被害者を訴えた「カネミ油症事件」。事件発覚から44年を経た去年、初めて被害者救済法が成立し、国の被害者救済の責務が法的に明記された。しかし、成立した救済法で一顧だにされなかった問題がある。それは、子どもや孫への世代を超えた「毒」の移行の問題だ。
3年前、国が公表した健康実態調査の結果では、回答者の4割が、子ども世代の症状の存在を訴えた。長崎県諫早市に暮らす認定患者・下田順子さん(51歳)もその一人。小学生のとき、家の食事で汚染油を口にし、重い皮膚症状や内臓疾患に悩まされてきた。その後結婚し、汚染油の摂取から20年後に出産。生まれてきた子どもは、幼い頃から体が弱く、成長するにつれ原因不明のけん怠感に悩まされ20歳を超えた今も、さまざまな病気や体調不良に苦しんでいる。
事件発生から45年。被害者がつないできた「命」は「毒」もまたつないでいってしまうのか。番組では、下田さん親子を中心に、声を上げ始めた被害者の姿を取材、放置され続けるカネミ油症・次世代被害の実態を報告する。



ぼくはこの番組を「真相 日本の枯葉剤」の著者である原田和明さんから教えていただいて、1回目の再放送時に録画しておいたものを先日見ました。不勉強でカネミ油症事件については詳しいことを知らなかったのですが、ベトナムで使われた枯葉剤に入っていた猛毒ダイオキシンと同様のものが混入した食用油を、たまたま食べた人たちがその後の一生背負うことになった苦しみに目を背けることができなかった。勇気を持って語った下田順子さんと娘さん、下田さんは20数年前に生きてゆくことに絶望して命を絶つことも考えたと言います。しかしそれをギリギリのところで踏みとどまった。そして、何の理由もなく背負った病を受け入れ、それを乗り越えてゆく生き方を選びます。われわれのまったく知らないところで、発端はまったくの偶然から命がけの戦いをし続けてきたひとたちがいたという事実。その苦しみに対して、周囲の人間たちは、社会は、何をし、何をしてこなかったのか。まして、差別とは! その社会の中には、当然、「わたし」も含まれています。


去年亡くなられた原田正純さんは、カネミ油症についても診察や調査をされ、支援をされてきました。
原田さんは番組の中でこうおっしゃっています。
「被害者の救済、とかいうけれども、救済という言葉は違うんですよ。あの方たちには、何の落ち度もないわけですから…  われわれは「つぐない」をしなきゃいけないんです」


ぼくは、水俣の出身ということもあると思いますが、こんな方々の存在を知って、のうのうと現在の毎日の便利な生活を享受することに、なんというか、後ろめたさを感じてしまう。これは正直にそう思うので、偽善ではないと思います。この方たちに何かをつきつけられている。それを、紛らしてうやむやにしてはいけない、ととても思うんです。だからちょっと話はずれますが、(うろ覚えなので少し言葉は違うかもしれません)「わたしはその時生まれていなかった。だから先の戦争に対してわたしには何の責任もない」と言い放ったという高市早苗政調会長の言葉に、ものすごく腹が立ちます。多くの人の意見を代表すべき立場なのに、人間としての感性があまりに貧しすぎます。


番組は長期にわたる丁寧な取材で、作り手側スタッフの志、誠実さと努力にも頭が下がります。
今晩夜おそく放送されるこの番組を、どうか一人でも多くの方に見てほしい、そして何かを考えてほしい、そんなふうに思います。




もし見れなかった方には…
少し画像は荒いですが、このサイトでも見ることができます。

<span style="color:rgb(255,0,0);">NHK・ETV特集「毒と命 ~カネミ油症 母と子の記録~」/事件発覚から45年を経た現在でも、子どもや孫への世代を超えた「毒の移行問題」は放置され続けている



追記)
水俣病の場合の水銀と同じように、カネミ油症の原因物質であるダイオキシンは一旦体内に取り込まれると排出されないんですね。しかも、子どもにまで受け継がれるのです。そしてそれはまず皮膚の異常として現れ、大きなニキビ状のものが全身に現れ、じくじくと膿をもって匂いを発する。それで追い打ちをかけるようにいじめられ、差別される。聖書の中のヨブ記のように神をものろいたくなるような毎日に変わってしまう。でもそういう絶望の淵から、番組の下田さんのように、多くの方々が生きてゆく決意をする。はらわたが煮えくりかえるように思っていた病を受け入れて、です。その姿は神々しくもあります。しかし日本の社会は、官僚的な認定業務に端的に表れていますが、こういう方たちに対してとても冷たいのです。もしかしたら、ぼくが、わたしが、得たかもしれない治らない病を、代わりに引き受けてくれたのかもしれない方たちに対して、ですよ。とりあえずぼくらができることはと言えば、とにかくことの実態を知って、真摯に考えること、じゃないかと。これら文明が生み出した不幸を、関係のないことではすまされない、じゅうぶん苦しみ、しかも苦しみから解放されない方たちに対して、それがせめてもの償いではないかって、おなじ人間なら。
ともかく見てください。魂が揺さぶられると思います。
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by kobo-tan | 2013-06-14 14:12 | 社会 | Comments(0)


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