つくりものがたり

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2011年 08月 28日

Both Sides Now




見積もりや請求関係など事務仕事が一区切りついたので、今日からまた、
キッチンバックカウンター収納&吊り戸棚の製作。


ネットは際限なく連想と記憶を誘発するので、こころのどこかにはひっかかっていたのにわすれていたものに辿りついてしまう。
ジョニ・ミッチェルが Both Sides Now を新録音したのは知っていて、聞きたいなと思っていた。
Amazonによると、これが入っているのは2000年発表のオーケストラアレンジのJazzアルバムで、すでに11年も前のことになる。



ダイアン・リーブスにもこの曲の名唱があるけれど、この歌唱の前には言葉を失う。
ダイアンの歌世界は、その歌唱力によって彼女の側にあるが、ジョニの歌は聞くものの近くで、それぞれの色合いで成立するといえばいいか。
彼女は42年前、26歳のときにこの曲を書いている。
聞き流せる曲ではない。その深い世界の前に、立ち止まり、振り返る。

素晴らしい訳詩を見つけたのでリンクを貼らせていただきます。
「青春の光と影」ジョニ・ミッチェル
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by kobo-tan | 2011-08-28 13:05 | ものがたり | Comments(0)
2011年 08月 25日

メガネトレー 78台


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去年の秋にやったメガネ店のメガネ陳列トレーの注文がまた来て、8/20からずっとそれをやっていた。

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去年は、1種類110台だったが、今回は寸法違いが6種類の計78台だから、
パーツ作りも機械のセットをなんども変えなければならず、手間のかかることこの上ない。

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共通のパーツもあるけれども、頭がこんがらがりそうで、何度も確認しながら慎重にやった。
「数もの」は、加工で間違えると致命的。正確に、ひたすら正確に何十何百のパーツを作っていった。

前回はすべて相欠きの組み方でやったが、こんどは高さ50mmが51台あり、相欠きはのりが効きづらく頼りないので、2mmの大入れでのりを効かせることにした。
あいだにはさむ47×184.2の5.5mmMDFのパーツは、900枚を超えた。

下の縦桟の溝に、900まいの横桟をはさんで組む。

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8/24から、仲間の助けを借りて組みはじめた。

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最後の仕上げ、ペーパーかけと面取りが大変でしたが、なんとか無事終了し、
明日の朝一で、塗装屋さんに持っていきます。
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by kobo-tan | 2011-08-25 23:54 | 製作例 | Comments(0)
2011年 08月 21日

1989年、夏





昨日8/19に、建具の取り付けとキッチンカウンターの仕上げを無事終えた大倉山のマンションリフォーム。

肝心のカメラを忘れて結局なにも撮れず、まあそれでなくても現場は、大工、クロス屋、経師屋、塗装屋など
あまたの職人が引き渡し前の最後の追い込みでせまい室内にひしめきあっており、自分の仕事を手際よく終わらせるのに手いっぱいではあったのだが、
くわえて昼前からのひさしぶりのふんだんな雨のなかいちばん近いバーミヤンへと手ぬぐいを頭にお昼に走り、
靴の中までもじっとりとぬれる始末。


22年前の夏、この曲をよく聞いていた。





その頃、脚本を書こうとしていた。
書いていた、とは言えない。書けなかったから。眼高手低。傑作をものしたいという望みばかり高く、なにも書けなかった。

それでも奮起して、一度だけラストシーンまでたどり着いた脚本があった。1時間の青春群像ものだった。
1989年の夏、せっせとそれを書いているときによくスザンヌ・ヴェガを聞いた。CDデッキはまだ持っていなかった。LPレコードで聞いていた。
彼女の1枚目のアルバムの中ではこれがいちばん気に入っていた。

書いたシナリオは自信満々で懸賞にだしたけれども、かすりもしなかった。
選考結果の載っている「ドラマ」という雑誌のそのページを、本屋でなんどもなんどもながめてたっけ。
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by kobo-tan | 2011-08-21 02:09 | ものがたり | Comments(0)
2011年 08月 14日

素晴らしい人生

皆様、残暑お見舞い申し上げます。
いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

こちらはかねてより家族と約束の海行き夏休みを8月の初めに取り終わり、
その後は難物の変形キッチンの製作、取り付けと、
この酷暑の中、だらだらと流れ落ちる汗をぬぐいぬぐいしながら、
とにかく無事に納まってくれることだけ願いつつ、職務に勤しんでおります。

もちろん工場には冷房などありません。日中は32℃まで上がります。
それでも2階部分が直射熱をさえぎってくれるので、仲間の工場よりはいくらか涼しいようです。
夜おそくなってやっと30℃を下回るこの環境では、事務所のエアコンだけが唯一の救いです。
噴き出る汗と倦怠に耐えられなくなると、ドアの向こうに逃げ込んで、上がりきった体温を下げるのです。

現場はいまだ進行中ではかばかしい写真も撮れていないため、更新もままならず、残暑お見舞いをかねてのお便りと相成りました。
世の中相変わらずの不況です。
のどから手が出るほど欲しい入金も滞りがちだったり、見積りには失敗したり、工事スケジュールは遅れたり、
うまくいかないことだらけのうえに、追い打ちをかけるようなこの暑さ!

それでも、ね。人生はすばらしい。
生きているってすばらしい。

盲ろう(目も見えず耳も聞こえない)の方で、福島智という東大の教授がいらっしゃいます。
彼がNHKの「ようこそ先輩」の収録で、二日間、母校の神戸市の小学校で、6年生の子供たちと過ごしたことがあります。
そのとき、そのなかのひとりの少女が無謀にも彼にこう尋ねたんです。
「人生のなかで、いちばんよかったことは何ですか」

福島さんは、しばらく黙っていましたがこう答えました。
「いちばんよかったことは・・・・・、僕が生きていること。これはほんとうに奇跡的なこと。
 いまこの瞬間、僕と君は話してるよね。それは、生きてるから。
 生きていてよかったなと、それがいちばん」

どうやって話してるかって?福島さんは自分の声で話し、少女の言葉は、通訳の方が彼の指にモールス信号のように打ち続けているんです。
福島さんには少女の姿は見えず、少女の声も聞こえません。
想像してみてください。
彼は、いまこのときも、暗黒の宇宙のなかに、たったひとりでいます。


素晴らしい人生とはじめたのは、ここ数日車のなかでこの曲を聞きまくっていたからです。



いまから39年前、斎藤哲夫弱冠22歳。デビューアルバムのオープニング曲。
つきることないこの広大な世界です。
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by kobo-tan | 2011-08-14 12:20 | ものがたり | Comments(0)