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2015年 06月 02日

ナラ板脚テーブル 

お久しぶりです。
3月4月と忙しさが続いて更新するどころでなくなり、またブログから遠のいてしまいました。
設計の森さんから、このテーブルは作ってるところもちょっと詳しくのっけてねと頼まれていたのに、今になって申し訳ありません。
かたちと全体のバランスなど、森さんスタイルと言ってもいいナラ板脚のテーブルです。


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まず、これが図面。


<木取り ~ 加工>

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テーブル、もちろんすべてナラの無垢材ですから、まず材料削りから。
無垢家具の加工はここからここから始まります。

ていうか、その前に、材料屋から送られてきた無垢材の厚み、幅、長さ、木目の良しあしと向き不向きを考えて、
この部分を脚に使おうとか、この残りを横桟にとか、これは天板とか、それをまず決めて、大まかに長さと幅を切っておきます。
それを「木取り」と言って、実はここが最初の最重要ポイントで、どんな材で、どんな家具ができるか、だいたいのところが決まってきます。
だからこの時に、材料を余裕を持って多めに用意しないと、「適材適所」がイメージ通りにいきません。
無垢材は自然のものですから、同じ樹種でも色合いや木目の感じはそれぞれに違いますから、それをどういうふうに組み合わせて作るか、
そのへんからはもう設計の領域というよりも作り手のセンスと判断領域で、ぼくら作り手がそれぞれ持っている「基準」に沿って作っていくということになります。

無難に無難にと、こぎれいな色合いと木目でそろえ過ぎると、全体はきれいなんだけど、ちょっと突き板みたいで、
せっかくの無垢のおもしろさがないとか、力強さ、野性味に欠けるとか、判断が分かれるところをひとつずつ決めていくので、いちばん悩ましいところでもあります。
でもここできちんと悩んでおかないと、でき上がった家具に説得力がなくなるのです。
自分はこう思い、こう判断して作ったということを、お客さんにも設計士さんにもはっきり言えることが大切だと思っています。


話、くどいですね。
先、行きましょう。


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手押しカンナ盤で2面を平らに削ったらそこに鉛筆で墨、もう2面を、幅を出せる自動カンナ盤で削って厚みと幅を決めていきます。


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たとえばこれは、2枚の板脚をつなぐ「」の先っぽ。
この細くしたところを、板脚に開けた穴に入れて、さらにこれからこの細い先っぽに穴を開けて、そこに「込み栓」というテーパーをつけた角棒を嵌めてしっかりと留めます。
無垢のテーブルはとても重いので、天板、板脚と部材を組み立て、分解できるようにするための加工です。


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これはホゾ取り盤という機械で、上と下に幅70mmの大きなカッターがついていて、材の上と下を一気にに削って、先程のようなホゾ先の加工に使います。


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角ノミという機械で、「込み栓」を通す穴を開けます。

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テーパーのついた込み栓がビシッと納まるように、穴にも同じテーパーをつけるために角度をつけて掘ります。


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板脚のほうに開ける穴は、型を使って倣い加工ビットで開けます。

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四隅はノミを使って、完全直角になるようにピシッと穴を開けます。


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板脚と天板の接合は、「カチット」という金物を使います。
天板の裏に太いスクリュービスをねじ込んでおいて、この金物を板脚をゲンノウでたたきながら嵌めこんでいくと、
ピタッと吸いつき、しかも、天板の収縮にも、フレキシブルに対応する金物です。
木の収縮は、幅方向で最大1/100動く可能性がありますから、幅900mmの天板では、9mm動く可能性があります。それに対応できる金物です。


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今回、板脚の木口にゆるいアールをつけてほしいという注文でしたので、テーブルエッジビットを使って、アールをつけます。

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こんな感じです。



<千切り>
今回はまた、天板に「千切り」(契り)をつけてほしいということでしたので、その加工の一部始終。

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まず、ウォ―ルナットの薄板を切り出します。

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昇降盤を傾けて、千切りの角度を切りだす。

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6枚+予備1枚の7枚を作る。

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接ぎ加工を終えた天板の、千切りを入れる位置に墨をする。

ここで「千切り」について…
千切りは、機能的には材と材の接ぎ目が切れないように、また、材にすでに入ってしまっているヒビや割れのところに嵌めて、
これ以上割れが進行しないようにするためのものですが、形がこのように可愛いので、天板のワンポイントとして意匠的な意味でも使われていて、
木の接着には、今は二液性の強力なPIボンドというのを使うので、むしろ意匠的な意味合いのほうが大きいと言えます。

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千切りの辺にピタッと沿うような型を作る。

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天板にクランプでしっかりと留める。

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倣い加工のトリマービットを使って掘っていく。

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こんなふうに掘れたら、4つの角をノミで切り取っていく。
これを6回繰り返す。

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それぞれの穴に千切りがぴったりとはまるように、千切りに下側をペーパーで擦って、
千切りが2/3ほど埋まるくらいに調整する。
あとは、当て木を当てがって叩き込み、最後は出っ張りをカンナで削って完全に平にする。
これを6回繰り返す。

千切りの作業は、天板の一番目立つところでもあるので、完全にピッタリとたいらに埋まっていないとダメです。失敗は許されない。
もしここで酷い失敗をしたら、最悪の場合、天板の作り直しです。ですので、慎重に丁寧に、確認を繰り返しながら進めていきます。だからとても時間がかかります。
このテーブルの製作の中でいちばん気を使うのは、テーブル本体ではなく、なくても支障のないこの千切りの加工だというところがちょっと皮肉なところです。



<素地調整 ~ 仮組み ~ 塗装 ~ 組立>

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天板にはカンナをかけますが、ナラ材はこれだけの面積になると木目もうねっていて逆目も多く、なかなかカンナだけでは仕上げるのが難しいので、
ペーパーの120番~180番~240番の順にサンダーと手を使って塗装のための素地調整をします。

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これは一番荒い120番。出る粉もすごいです。

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塗装はオスモのノーマルクリア―・ウッドワックスを使ったオイルフィニッシュ。
天板は最低3回葉塗り重ねるので、仮組み前に一度塗っておきます。

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こんな感じ。


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脚も素地調整。

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脚を立てて、

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仮組み。

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込み栓を叩きこんで、ちょうど頃合いの位置で、余分な長さを切り、調えます。

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込み栓は、左右それぞれ、ナラ材と、ちょっとワンポイントにウォ―ルナット材のも、サービスで作りました。

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天板を裏返し、カチットをきかせて接合。
縦長の貫と真中の横桟には天板に密着するようにステンレスビスを使います。
縦の貫は木目方向なのでほとんど収縮はなく問題ないのですが、横桟は幅方向であり、収縮を妨げるので、
ビス穴にこんな加工をします。

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ビス穴をがた穴にして、ビスが動けるようにしておきます。

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完成形です。
これからまたばらして、オイルを塗り重ねてでき上がりです。


<納品>

納品は引っ越し前で、オーナーさんはいらっしゃらなかったので、ひっそりと置いてきました。
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お、このイケメンは・・・
設計の森さんでした。
おれよりひとつ上なのに髪黒々。

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それにひきかえ完全なるおじさんの製作者でやんス。

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ご注文いただいた中澤さんにはとても喜んでいただいたようで、ありがとうございました。
ブログ掲載がおそくなりまして本当に申し訳ありませんでした。
お使いのテーブルの製作の経緯を、これでなんとなくお分かりいただけたとしたら、とてもうれしいです。
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by kobo-tan | 2015-06-02 12:59 | 製作過程 | Comments(0)