2012年 07月 09日
夜中の2時にテレビをつけてみると、ウインブルドン男子決勝の終盤。 3年ぶりに決勝に進出したフェデラーと イギリス人男子としては76年ぶりの優勝を狙うアンディ・マリー。10分ほど見ていたらあっさりとフェデラーが勝った。 マリーの返球がサイドを割った瞬間、芝の上にあおむけになって喜びを表すフェデラー。 天を仰ぐマリー。 どよめきとため息のセンターコート。 選手も観客も、白熱した試合の緊張から解き放たれて、しばらく呆然と立ち尽くす 中を、きびきびとボールボーイたちがネットの両側に集まり、表彰式の準備がはじまる。 準備といっても、用意されるのは準優勝の銀皿と優勝カップ、それを載せる小さなテーブルだけ。 ボールボーイたちが コートの入り口付近に整列して通路をつくると、その間からケント公があらわれ気づいたら表彰式はもう始まっている。 ケント公が一人のボールボーイに歩み寄り何か話しかける。 「雨で大変だったね」 「君たちのおかげで素晴らしい大会になったよ」 とかなんとか。 そして、 "Yes,sir" "Thank you ,sir" とか答えてるんだろうか。 公はチェアアンパイヤと大会レフェリーと握手しその仕事をねぎらった後、銀皿を惜しくも敗れたアンディ・マリーに手渡す。 そのあと、優勝カップをフェデラーへ。 淡々と、もったいぶらず、無駄なことは一切せず、飾らず、率直で、温かい、簡素なセレモニー。 そのまま見ていればわかるのだから、表彰台も音楽も、ましてや国旗国歌のたぐいなど一切なし。 それから、今日のヒーロー二人へのインタビューがはじまる。 落ち着いた年輩の女性インタビュアーが、だれもが聞きたいことだけを、手短に質問する。 マリーはしかし、感極まった様子でなかなか話の聞ける状態ではない。 そのうちに、インタビュアーからマイクをもらって、みずから満場の観客へ向かって話をはじめた。 悔し涙をこらえながらの、このスピーチがよかった。 もう少しだった、そう言って彼は声を詰まらせる。 もう少し。 フェデラーは30歳で、年齢の壁に突き当たっているから、君にも勝つチャンスはおおいにあると言われた。 僕は懸命に闘ったけれども、彼には通じなかった。 もう一歩のところで及ばなかった。 彼こそ勝者にふさわしい。 彼におめでとうと言いたい。 そして、最後にみなさん。 メディアはプレッシャーがどうとか、ウインブルドンでプレーするのはほんとうにタフなんだとかいいます。 でもみんなが応援してくれたからこそ頑張れたんです。 ありがとう。 頂点へ向かって努力を重ねて惜しくも及ばなかった25歳の若者が、声援を送ってくれた観客一人一人へ、自分の言葉で話しかける。 自分の言葉で。 なぜマリーは、そして彼らは、それができるのだろう。 from heart to heart 、心から心へ言葉が伝わってゆく。 削除される前にご覧ください。
by kobo-tan
| 2012-07-09 21:56
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