2012年 08月 24日
今年はグールドの生誕80年と没後30年にあたる年で、先週NHK-FMで彼の特集をやっていて、 今週はその再放送を朝やっており、今朝はちょうど車で工場へ来るときに1955年のレコードデビュー作の「ゴールドベルク」が流れた。 高校1年の時にグールドの「インベンションとシンフォニア」を買い、そのあとこの1955年版の「ゴールドベルク」を買ってよく聴いた。 当時は高校の塀の前の下宿屋に下宿していたので、となりと襖1枚で仕切られた3畳の部屋にステレオなどはなく、 同級生に藤丸君というジャズきちがいのおとなしく優しい友達がいて、レコードを買うと、かれにすぐカセットに録音してもらい、 小さいラジカセにヘッドホンをつないでしじゅう聴いていた。親元を離れて、勉強なんかしなくなってたし、部屋では、音楽を聴いて、文庫本を読んでいた。 これが、1955年版のジャケット。 ゴールドベルクと言えば、彼がなくなる前の年に再録音した1981年版のほうが、自分も出てすぐ買ってよく聴いたし、巷でも彼がどんどん有名になって 耳にする機会も多かったが、今朝流れた1955年版のゴールドベルクは、やはりペールギュントと同じように自分の中に刷りこまれており、 やはり刷り込まれている1981年版のどこか研ぎ澄ませ過ぎた音楽を押しのけて、自分の中の奥のほうが反応した。 これだったんだ。 わけもなく泣きそうになる。 グールドは走る。一心不乱に無我夢中で、だれになんと言われようがお構いなしに、ひたすら走る。23歳のグールドは、たぶんものすごい指の圧力で鍵盤をたたき続ける。 ノンレガートで、たぶん一度もペダルなんか踏まずに。当時のモノラルのごつごつした音色で一気呵成に音を刻んでゆく。最近浮気して聴いていたぺライア版の「ゴールドベルク」と 聴き比べるとよくわかる。ぺライアは、自分の出す音をよく聴きながら弾いてる感じがするが、グールドは自分が今出している音さえも聴かないで突っ走ってる感じがする。 「青春」のゴールドベルク。 フランソワ・トリュフォーの映画「大人はわかってくれない」のラストで、主人公の少年がえんえんと、ただひたすら走っていく。 その長い長いシーンで映画は終わるのだけど、その延々と走っていく少年を見てるような気分になる。 追記) 今ふと思ったんだけど、グールドは、「赤い河」や「地上より永久に」なんかに出ていた2枚目スター、モンゴメリー・クリフトに似ている気がする。 それよりやはり、ジェームス・ディーンだろうか。 そりゃ、人気出るよな。
by kobo-tan
| 2012-08-24 13:40
| 音楽
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