つくりものがたり

kobotan.exblog.jp
ブログトップ
2013年 04月 18日

「ありふれた奇跡」のこと






山田太一が脚本を書いて2009年1月から放送されたドラマ「ありふれた奇跡」はこんなふうにして始まる。
山田さんが12年ぶりに書いた(この前は「ふぞろいの林檎たちⅣ」)久々の連続ものということで、スタッフ・キャストの意気込みも並々ならぬものがあり、
このオープニングシーンも力のこもった素晴らしいものだった。
駅のホームで、自殺しようとしている中年男陣内孝則に気付いた仲間由紀恵と加瀬亮がとっさに彼に飛びかかって自殺を止めるところからこのふたりをめぐる物語がはじまる。

ぼくはこのドラマを4年前に毎週集中して見て、その時に録画したDVDを1話から最終話まですべて保存してあるのだが、
今年に入ってなぜかよく思い出し、ネットで検索した時に、なんとデーリーモーションの動画で全11話をすべて見ることができることを知った。
それでしばらく前から、仕事を仕舞って思い出したときに、工場のパソコンの前に坐って、初回から1話ずつ順々に見るようになった。
かつての自分の過ちで子供のできない体になってしまった女性と、一度は人生の生存競争に負けたことのある実直な左官職人の、それぞれの家族を巻き込んだ恋の物語。

そしてとうとう昨日の深夜、最終回を見てしまった。
よかった。
さまざまな問題を乗り越えて最終的にはふたりは結婚するということになるのだけど、
最後に両方の家族が一堂に会してお茶の席を持つというところがあり、
そこで、家族の中で最後まで、子供のできない女性との結婚は認められないと強情を張っていた、左官職人の方の祖父の井川比佐志のスピーチがとてもよかった。
あの引きこもりだった翔太(加瀬)が変わった。お祖父ちゃんは用心のしすぎだ、そんなに用心ばっかりしてたらいつまでたっても独りじゃないか、なんて堂々とものを言うようになった。
それは加奈さん(仲間)のおかげだ、と言って自分も応援するという。 実に名演説、名台詞。それを聴き終わって、静かに加奈は泣く。この泣き顔が美しかった。
加奈と翔太の出会ってからのすべてのドラマが、この場面に着地したという感じ。また4年経ったら、このシーンを見るために1話から見直すのかもしれない。


「ありふれた奇跡」 第一話


デイリーモーションの動画をそのまま貼り付けることができないので、リンクしておきます。



追記)
今またこの動画を見ていて、
この時この場所に、この二人がいた、っていうこと自体が奇跡だよな、と思う。
いろんな問題を乗り越えて、お互いに愛し合って、結婚することになる二人は、
最初はこんなふうに、ただ摺れ違うんだ。
確率という言葉を使うのもばかばかしいくらいそれは、何億分の一、何兆分の一の確率であることか。
ここまで思い至った時ひとは、神の采配という以外にそれを言い表すことができないんだろう。



「悲しいことには、きっと、いいことがついてくる」

by kobo-tan | 2013-04-18 18:06 | 映画・ドラマ | Comments(0)


<< タモ突板のレジカウンター      フローリング材のカフェテーブル >>