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つくりものがたり

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2014年 01月 04日

何かに感謝したくなる夜




何かに感謝したくなる夜_d0169209_23103820.jpg



30年来の年長の友人、秀島実氏の舞踏公演を見に、
今日は夕方から車をとばして鎌倉へ。


会場の生涯学習センターホールは通路まで人が溢れるほどの満員の盛況。
ダンスは秀島さんの好きなグルーチョ・マルクスで始まり、ジプシーキングスの黒いドレスの踊りで閉じた。
約一時間ほどの時間だったと思うけれど、ここに流れる時間は違っている。
存在とその動きに集中しているうちに、ついさっきまでその中にいた時間と違っていることに気付いてゆく。
1988年頃だったか、秀島さんが喜多能楽堂で仕事をしていた頃に見せてもらった能「道成寺」の乱拍子、
そして、「ブレーキの暴力」という言葉を思い出す。


地元の鎌倉でやれたことがとてもよかったと思う。
スタッフの方たちも準備から本番へといい仕事をされて、最後まで鳴りやまぬ拍手がとても温かかった。
懐かしい人たちにもたくさん会えて、思いがけず過ごすことのできた贅沢なひととき。
なにかに感謝したくなるような夜でした。






昨年11月12日にFacebookに投稿した秀島氏の文章。
当時もよく話していたけれど、忘れられないことなのだなぁ、と。 ここに拝借。


秀島記 昨日、ある女性能楽師の強い誘いをうけてその仕舞を拝見。そこは目黒喜多能楽堂、15年前まで仕事として関わりのあった場所。私はそこで故友枝喜久夫師に「あんた大野一雄って知ってるかね?」と尋ねられたことがあった。その理由は観客の一人から手紙で「喜久夫師の能で大野の踊りと同質の感動を得られる」と知らされたからであった。
それが25年前、私は大野一雄を友枝師の能「弱法師」に誘った。感動した大野一雄は再び能楽堂へ、私が友枝師に大野の来堂を伝えると淡い光が感ぜられるほどの師であったが「是非」という願いの両者の面会が実現した。師の手を引き大野一雄の待つロビーへ、そこに大野一雄は直立不動で待っていた。今もその時のことは忘れない、さらにもう一つ大野一雄は師の手を握る私と同様に「私にも握らせてください!」と懇願し跪いたのである。私はその光景に戦慄したまま今を生きている。


by kobo-tan | 2014-01-04 23:59 | つぶやき


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